ノイズ対策コンサルティングをご希望の方
開発の都度、問題を起こしていませんか?ノイズや誤動作でお困りではありませんか?何がノイズや高速化の障害になっているかわからない。「何か良い手はないか?」と探している設計者の方。あります!!
詳しく見る製品は家庭用の太陽光発電用パワーコンディショナです。太陽光発電用パネルで作られる電圧は直流400Vほどですが、それを家庭内で使うために交流100Vに変換するための装置です。
製品1は2015年発売、製品2は2018年に発売されているので時期的には3年のギャップがあります。従って、このまま比較するには設計環境、時期的な背景など様々な要因を考慮しなければなりませんが、とりあえずそれらの要因を考えず比較してみます。
まず驚くことは、製品2のプリント基板が1枚で構成されていること。
それに対し製品1は一般的な製品でもよく見る複数基板で構成され、それらを接続するハーネスが目立ちます。
製品2の方がハーネスが少ない分、作り易そうですよね。
ノイズ面からみると、プリント基板内でどんなにノイズを低減してもハーネスからノイズが出てしまうのは周知の事実。ハーネスを少なくするには、複数の基板をできるだけ集約するのがベターというわけで、製品2は究極の姿といえます。
製品1
製品2
写真3
回路には書かれていないが、実際には矢印で示した部分が配線(FG)になっている。
写真4
入出力端子用シャーシに、制御、パワー、リレー基板からのFG配線が接続される。
製品を外来ノイズから保護するには、写真3の中心付近にあるバリスタやアレスタなどの対策部品が一般的に使われます。
ここでも使われているのですが、問題はFG(フレームグラウンド)の対応です。
写真中央から緑の配線が飛び出ていますよね。この配線の行き先は写真4で示すシャーシです。
リード線で引っ張り回すよりアレスタの直近でフレームに落とした方が良くないでしょうか。
リード線が駄目な理由は、直ぐそばにある他のリード線への影響です。
瞬間的でも大きな電流がFGリードに流れると、他の配線にも影響が及びます。
それと比較したものが写真5と6です。
写真5でも同じ様にバリスタやアレスタを使っているのですが、アレスタのすぐそばにFGと接続するためのネジがあります。
このネジはシャーシのボスと直接接続されるので、電気的な減衰はほぼ0。まさに理想的というわけです。
製品価格は海外品が国内のおよそ1/3。
これでは競争になりません。
製品2の海外製は、様々な分野のエキスパートが専門分野の知識を活かして開発した集大成と思われます。
ノイズだけでなく熱対策もかなり熟慮されています。
それと比較すると製品1は、設計者は優秀なものの横のつながりが殆んどない様に感じます。
如何ですか?ものづくりの領域でも、すでに海外勢に大分遅れを取ってしまっている良い例ではないかと思います。
パワーコンディショナの例で説明しましたが、おそらく多くの製品がこれと同じ様な問題を抱えている様に思います。
なぜ国内の技術が遅れを取っているのでしょうか。
若者が定着しないとか、終身雇用の崩壊、リストラの嵐など、様々な理由があると思いますが、上記の環境は海外でも大きくは変わらないと思います。
写真5
写真6
電磁気学と言うと、一度は単位を落として苦い経験をされた方も多いのではないでしょうか。
米国の大学ではどうなのでしょう。そのあたりからインタビューを進めてみます。
説明をしてくれる方は、EMCの研究で世界的な第一人者であるJames L. Drewinak教授、聞き手は元日本アイ・ビー・エムの技術理事で現在山形大教授の櫻井秋久教授です。
EMCを取り巻く学習環境についてMST教授にインタビュー
James L. Drewinak教授
元日本アイ・ビー・エム技術理事
山形大学 櫻井秋久教授
聞き手:櫻井教授米国の中小の企業でEMCエンジニアがEMCの基礎やスキルを学ぶには、どのような方法が一般的でしょうか。また、大企業と中小の企業で違いはあるのでしょうか?
解説:Drewinak教授中小企業では、ミズーリ工科技術大学(MST)のEMC研究所(EMCラボ)をはじめ、いくつかの大学が提供しているオンラインEMCコースや、コンサルタントが提供しているオンラインコース、例えばLearn EMC (Todd Hubing, learnemc.com) などが、EMCの基本やスキルを学ぶ良い方法だと思います。
予算に余裕のある大企業などでは、コンサルタントを講師として招くことで、参加するエンジニアがEMCに関する疑問や設計上の課題・問題点を講座に持ち込み、講師とディスカッションする優れた実践的な学習機会を設けることが可能です。米国では、Silent Solutions社が良い例と言えます。
また、大企業の場合、ミズーリ工科大のEMC研究所を含むいくつかの大学では、「エンジニア・イン・レジデンス)」(学内滞在型教育)プログラムがあり、企業の現役のEMCエンジニアが、一人の経験豊富な教授の指導のもと、時に専門の大学院生の支援を得ながら、数週間から数ヶ月間、特定の設計やハードウェアのEMCの特質の研究開発に取り組みます。
ある日本の会社は過去20年にわたりこのプログラムに参加し、世界トップクラスのEMC組織の作り上げに貢献しました。
聞き手:櫻井教授MSTの教育・技術開発体制はどうなっていますか?
解説:Drewinak教授学部生は、3年次に電磁気学の基礎を1科目履修します。
その後、4年生や修士課程でシグナルインテグリティやEMCの基礎など、より高度な科目を履修することができます。大学院生レベルでは、計測(時間領域、周波数領域、放射)、電磁気学上級、数値電磁モデリング、SI/PI概念が必要な高速デジタル設計の側面を含む電子機器設計コースなどを受講します。EMC研究室の大学院生は、通信、デジタル信号処理、制御、パワーエレクトロニクス、VLSIなどのコースも履修します。
修士・博士課程の学生も、入学後すぐに研究を開始します。1学期に2科目ずつ履修し、研究にも着手します。彼らはまず、EMC、EMI、RFI、SI/PIなど、企業の問題に関わるあらゆる側面を学ぶために、業界の問題の1つに取り組むことから始めます。私たちはチームワークを極めて重視します。学生は通常、周りのチームのサポートを受けながら、少なくとも1つのプロジェクトに責任を持ち、経験や専門知識が増えるにつれて別のプロジェクトのサポートも行います。また、1週間に多くの企業とミーティングを行うため、学生はミーティングの運営に責任を持ち、進捗状況や結果を明確かつ簡潔にプレゼンテーションすることが求められます。また、教員やチームの企業メンバーからのアイデアや指示を、その週と長期の両方の研究プランに落とし込む能力も要求されます。
学生はこの過程で、優れた組織力、計画力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を身につけ、自分自身への自信を持つことができます。産業界の協力者からは、修了時の学生が技術的にもソフトウェアにも非常に長けていると評価されており、ほぼすべての学生がスポンサー企業に採用されています(他の会社からのオファーも受けますが)。
聞き手:櫻井教授MSTは、業界の課題や問題点をどのように入手していますか?
解説:Drewinak教授最初はとても難しく、時間がかかりました。MST EMCラボでは、企業がコンソーシアムを通じて研究のスポンサーになりますが、私たちはまず、自動車用電子機器のハードウェア設計でEMIの問題を抱えていた企業との協業を始めました。ノイズ源、ノイズ結合経路とその物理特性、そして「意図しないEMI」アンテナ特定の問題に取り組みました。
そして、EMI問題を軽減するための解決策を特定するために、問題のおおよその記述モデルを開発しました。その過程で、ノイズ結合の物理や放射のモデル化について、より根本的な問題も明らかにしました。
これらの成果は、学会で発表し、最終的には学術誌に掲載することができました。多くの企業を訪問し、話を聞いて、問題を理解し、抽出する方法を学ぶ必要がありました。しかし、実際の製品で最初の成功を収めた後は、他の企業からも信頼される事例を得ることができました。EMIやノイズカップリングの物理的な理解が進むにつれ、企業の問題解決に協力する割合が徐々に増えていきました。 その後、EMCラボに新しい教員が加わり、ESDやイミュニティ、SI/PI、RFIへと対象とするテーマも拡大していきました。しかし、ある時点で、大学の研究室は時間コストなど様々制約がある製品開発プロセスの中で活動してはだめだということに気づかされました。そのときから、すでに市場に出ている思われる製品に対応するようになりました。すでに市場に出ている製品を対象に、実際の問題やハードウェアの見直しに取り組むと、対処すべきいくつものEMC設計の課題があったことが分かりました。
これらは最終的には製品の開発サイクルの中で対策されるべきものですが、問題がよく理解されていなかったり、対策が高価だったりしたことが原因で取り残されていたものです。企業は、知識を向上させ、今後の製品への適応のため理解を深めたいと考えているはずです。これに応えるため、私たちはこのような課題に、問題を突き止め、背後にある物理を明確にし、モデルを作り上げ、将来に向けた設計ガイドラインと対策手法策定を行うことで、ハードウェアの観点から企業と一緒に取り組みます。
聞き手:櫻井教授大学と企業、特に中小企業(SMEs)との間では、どのような協力関係があるのでしょうか。
解説:Drewinak教授SMEsに対して良い仕事のやり方は、タスクを明らかにし、簡潔な業務記述書をつくることです。
これにより、SMEsで大学との協働に慣れていない場合に、コストと時間及び、企業と大学がもつリスクに制限与えることができます。通常、タスクの規模、タスクの予算について、妥当と考えられる最低線のようなものがあるはずですが、予算はタスクに対して適切でなければなりません。協働や成果物の成功が実証されれば、更に大きなタスクを、より大きな予算と長い時間をかけて実施することも可能となります。
聞き手:櫻井教授大学と企業の関係では、日本の大学は「教える」側(産業界の問題や課題に疎い)、企業は「学ぶ」側という位置づけのようです。
MSTの活動を見ていると、米国の大学の方が産業界の課題に関わり、一緒になって問題解決に取り組んでいるように見えますが、実際はどうなのでしょうか。
解説:Drewinak教授MSTの EMCラボについてはその通りです。私たちは、企業と直接、問題解決に取り組んでいます。
これは、まず問題を特定し、タスクの詳細、おおよそのスケジュール(ただし、これはかなり暫定的なものであり、ほとんどの場合、作業の進捗に伴って変更されていきます)、成果物、コストを含む短い(3〜5ページ)業務記述を書くことから始まります。多くの場合、作業が特定のハードウェアの問題に関連している場合、大学で私たち自身がが当該ハードウェアを使って作業することをお願いしています。良いチームとなり、会社から必要なサポートを受け、また進捗状況を伝え、アイデアを交換し、知識伝達を行うために、毎週報告会を開催し、進捗と次のステップについて議論します。
私たちは当然教えることもします。今取り組んでいる問題やそこで得る経験により教えることが生まれてきます。
聞き手:櫻井教授米国のエンジニアは、基本的なことをよく理解しているように見えます。
これは教育システムの違によるものでしょうか?
解説:Drewinak教授日本の制度はよく知りませんが、米国ではそれぞれの課程において、3、4年生のほぼすべてのクラス、また多くの2年生のクラスで、採点される宿題(課題)が毎週出され、学期中に2-3回の試験、学期末に1回の試験があります。A、B、C、D、F(高い方から低い方)の成績は、すべての課題および試験の加重平均に基づいてつけられます。これにより、学生は課程を進めるように学習することが強いられるわけですが、学年末などに合格、不合格を決める大きな試験はありません。
聞き手:櫻井教授米国で出版される技術書は、一般に日本で書かれたものより厚く、内容も充実しているようです。
独学を主目的としているからでしょうか。
解説:Drewinak教授米国では教科書(学習用だけでなく、参考書についても)の執筆は大学教授が中心です。評判が良く多く読まれる教科書を書くということは、名声の問題であるし、また大学の報酬制度にも絡んでいることがその理由でしょうか。年々、学生やエンジニアは、購入する本により詳細な説明を求めるようになり、そのような本が好まれるようになりました。
電磁気学の上級者向け教科書として、C. A. Balanis著の「Advanced Engineering Electromagnetics」(工学電磁気学特論)がいい例です。これは非常に分厚く内容のある本で、理論は段階的に丁寧に解説し、吟味された例題にも解法手順が示されています。また、章末にある豊富な問題集で知識を深める機会も提供されています。
聞き手:櫻井教授最近、日本の大学でEMCを研究テーマとする研究者が激減しています。
EMCが重要視されていないとか、産業界(企業)との関係がうまく取れていないとか様々な理由があるようです。
米国でも同じような状況にあるのでしょうか?MSTは学会発表や論文発表が多く、一部の企業との特別な協働も行っています。MSTだけが特別なのでしょうか?
解説:Drewinak教授EMCをEMI、ESD、RFI、イミュニティ、シグナル・インテグリティ/パワーインテグリティという領域に分けて考えてみましょう。
EMI、ESD、RFI、イミュニティという領域では、MSTのEMCラボが今日、大いにユニークな存在であると思います。なぜなら、これらの領域は、本や論文を読むだけで簡単に学び、高度な専門性を身につけることもできないからです。専門知識は、実際の問題を経験し、実際のハードウェアに取り組み、特性が明らかでない物理的な結合を理解することによってのみ培われるのです。この経験を積むには、何年もかかり、多くのハードウェアの問題を理解し、解決する必要があるのです。
一般に大学でのキャリアはこれよりずっと早く進まなければなりません。30年前、私たちがEMCラボをスタートした頃はもっと簡単でしたが、EMCラボ外の同世代の教授の誰よりもキャリアを積むのに時間がかかったのは事実です。
SI/PIについて、論文や書籍から多くの問題を学び理解することは比較的容易ですし、ノイズ結合の物理的解明が困難な他のEMC領域比べると、問題の定式化もずっと容易です。 信号経路は少なくとも既知であり、結合については「攻撃側」の特定も比較的容易です。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、ジョージア工科大学を含むいくつかの大学の多くの学部では、SI/PIの様々な研究が行われています。
多くの点で国内の環境と異なることがお分かり頂けたと思います。
国内では大学と企業の結びつきが一部を除いてそれほど強くありませんし、企業間では関連する学会等で積極的に活動している企業を除き、どちらかといえば秘密主義を感じます。
株式会社システムデザイン研究所では、ノイズコンサルティングを行う前に、商品を美しく仕上げませんか?と提案することにしています。
表面的に美しいということではなく、無駄がない設計のことです。
ハーネスが少なく、グラウンドや電源がしっかりした商品はノイズが少なく、外来ノイズにも誤動作しないものです。
皆さまのまわりにある商品を見直してみましょう。どれだけ美しいと思える商品があるでしょうか。
この特集を通して少しでもヒントを得て頂ければ幸いです。
開発の都度、問題を起こしていませんか?ノイズや誤動作でお困りではありませんか?何がノイズや高速化の障害になっているかわからない。「何か良い手はないか?」と探している設計者の方。あります!!
詳しく見る高速化に対応する基板設計技術をベースに、層構成変更、パターン変更、部品レイアウト・配線変更などを同時に行い、評価までを一貫して行うため、部品削減を実現できる場合があります。大丈夫です!
詳しく見る1万枚で100万円のコストダウン。こんな宝の山を見過ごしていませんか?様々な場面でシミュレータがコストダウンに寄与するということを知っていただきたいです。株式会社システムデザイン研究所にお任せください!!
詳しく見る 基板設計によって、基板から発生するノイズ、外来ノイズによる誤作動レベルなどが大きく変わることは良く知られています。
株式会社システムデザイン研究所では、お客様のご要望により層構成の変更、電源を層からパターンに変更、部品レイアウト・配線変更などを同時に行い、評価までを一貫して行っております。
設計変更に伴う納期遅延等の問題を最小限にする為の対応で、多くのお客様にご満足を頂いております。
製品から不要な輻射ノイズを出さない、外来ノイズの影響を受けないなど、高度な設計技術が要求される。...株式会社システムデザイン研究所が解決します
ノイズ測定で規格に収まらなければ、入るまで何度も対策を行うことになる。...株式会社システムデザイン研究所が解決します
製品開発の初期段階では何といっても製品が仕様通りに動作することが求められる。...株式会社システムデザイン研究所が解決します